沈黙は自分の魅力をアピールする武器となる。
「軽薄な男って嫌い!」 男性向けの雑誌のデート特集に、かならずといっていいほど出てくるのが、「おもしろい話題を提供し、彼女を退屈させない会話術を身につける」といった項目だ。
たしかに、男性が黙っていたら、デートも何もあったものではないだろうが、彼女を 退屈させない会話術 を誤仰附して、女性から敬遠される男性も決して少なくはないようだ。
たとえば、こんな話がある。好立を寄せていた女性とのデー卜にこぎつけた、ある男性のケースだが、彼女を退屈させてはいけないと、 事前に話題をいろいろ考えたうえで、デートに臨んだ。そのかいあってか、最初は彼女も楽しそうだった。
途中で用意したネタを使い来たしてしまったときは、一瞬、彼もあせったものの、なんとか話 題を探して話を途切れさせずにすんだので、彼女と別れたあと、初デl トでの勝利を彼は確信したという。 しかし、二度目のデートに彼女を誘ったとき、彼の自信はもろくも崩れ去った。
「私たち、あまり話も合わないみたいだから、これ以上つき合わないほうがいいと思 うの」と、みごとに断わられてしまったのである。
しかも、「彼女がキミのことを 『一 人でしゃべっているのはいいんだけれど、話に内容がないから、うるさいだけな のよね。それにしても、あんな軽薄な人だとは思ってもみなかったわ』といっていた よ」と友人から聞かされた。彼が大きなショックを受けたことはいうまでもない。
《なぜモテないか》ただのおしゃべりは、軽薄さにつながりやすい
「おしゃべりな人」といえば、以前は女性がほとんどだったが、以近は若い男性にお しゃべりが多くなった。仲間といるときは、とにかくおしゃべりがやむときがない。 大学が私語禁止令をわざわざ出さねばならないほど、講義中だろうとなんだろうと、 仲間としゃべりつづける。こうした傾向に「ケータイ」が拍車をかけている。いつで もどこでも、まわりに仲間がいようがいまいが、ひっきりなしに誰かとしゃべっている 。
できない男女を巧みにリードできる男 17 3 このおしゃべり現象は沈黙恐怖症 の 裏返しといってもいいだろう。会話が途切れ て沈黙が訪れるのを恐れているのである。た しかに、ふとしたはずみに会話が途切れると、「相手は退屈していないだろうか」「つぎにど んな話題を持ち出したらいいだろうか」と、 だれでも相手の存在を意識したり、緊張した りする。
この沈黙の緊張に耐える自信がない ため、ひたすらしゃべるという若い人が、私 の見るところ、決して少なくない。 この場合、当然のことながら、話の内容は 二の次になりやすい。頭に浮かんだとりとめ のないことを口にしたり、ただの世間話で終 わることが多い。内容より、しゃべっていれ ば、とりあえず安心できるからである。
女性と話すときも、この沈黙恐怖症から、とにかく聞があかないようにと話しつづ ける男性を見かけるが、いくら話題の盟富な人でも、これでは女性もリラックスして 話を楽しむわけにいかないだろう。それに、話すことだけに夢中になると、内容が空疎になりやすく、先の男性のように「中身のない軽薄な男」という印象を与えてしうう危険性すらあるのだ。
《対策》ときにはおしゃべりを中断して、ちょっと周囲を見回してみる
もともと会話というのは、お互いにやりとりをして、だんだん内谷が川休まっていく のがおもしろいのだが、しゃべりまくる男性には、そうした精神的余裕がないようだ。 こうした男性にすすめたいのは、訴の途中で同四をちょっと見回してみることである。
いい景色があったら、二人で黙ってながめるのもいい。何よりも、 彼女の表情にもっ と注立を払うことがだいじだろう。話すことに夢中になっていると、彼女がほんとう に興味を持って聞いてくれているかどうか、気がつかなくなっていることが多いから だ。 「沈黙は金」という。会話の途中でふと口をつぐむ男性に魅力を感じるという女性が できない男がいるが、沈黙は決してマイナスではない。口をつぐんでいるあいだに、何を話せばい いのかを考えることもできる。
そうすれば、思いついたことを手当たりしだい口にす るという軽薄な印象をぬぐい去ることもできるだろう。 それに、聞き手の女性が男性の話についていくためには、女性が理解できるような 余裕をつくることも必要だろう。つぎからつぎに話題が目まぐるしく変わると、話についていけなくなった女性は、疲れて追加するだけだろう。
つまりは、沈黙をところどころにはさむだけで、おしゃべりがもっと生きてくるということだ。 火を巧みにリードできる。