雑誌の受け売りではなく、 自分の体験・感激を素直に語る
彼女の信用を失ってしまった男。
映画や音楽に精通している男性というのは、やはり女性に人気があるらしい。そう いったことが影響しているのか、映画などにはほとんど興味のなかった男性が、彼女 ができると、にわか映画辿になるケースも少なくないようだ。
「この前の土曜日に 、 彼といっしょに映画を見にいったの。その映画をどうしても見 たくなっちゃって。映画館を山たあと、喫茶府に入ったら、彼が映画のことをいろいろいうわけ。あんまりガラじゃないなあって思ったんだけど、それがけつこう一許論家 ぼくって、ちょっと感心しちゃったのよ。
映画のことをよく知ってるんで見直したわ。 ところが、そのあとで彼の部屋に遊びにいったとき、彼が近くのコンビニまでビール を買いに出かけたから、本棚の雑誌をなにげなく見てたの。そうしたら、あの映闘の ことが書いであって、それがまるっきり、喫茶庖で聞かされた感想と同じだったわけ。
「それで、どうしちゃったわけ? 」「なんとなく映画の印象まで悪くなっちゃうし、もうゲンメツよ。あの人がこれまで私に 聞かせてくれた話も、ぜんぶ他人のな凡だっ たんじゃないかと思うと、とたんに彼のこと が主体性のない男に思えてきたわ」 これは、私の捌究室に遊びにきた女子学生 二人の会話である。彼女はそれ以来、彼の立 派なセリフがことごとく他人の受け売りとし か聞こえないようになってしまったという。
《なぜモテないか》女性は 受け売りに、権威に服従する弱い男性像を見る
前にもすこしお話ししたが、彼女の前で附 160 識ぶりたいというのは、男性のだれもが持つ欲求といえるだろう。ちょっぴり気のき いた意見を話せればカッコいいと思うのは当然だ。そこには、「彼女を感心させてみ たい」という、男性のささやかな見栄も潜んでいる。
しかし、その感想がだれかの受 け売りであったら、それはまったく逆効果である。 女性はべつに格調の高い批評を求めているわけではない。むしろ、素直な感想を聞 いて、彼の考え方を知りたがっているのである。それなのに、自分をよく見せようと 他人の意見を借りようとするなら、メッキがはがれたときに、彼女は彼のことを「自 分の考えを持たない、頼りない男性」としか見なくなるだろう。
感想とは物事にふれて感じ、想うことである。 映画を見て、なんの感想も抱かない人聞はいない。したがって、だれかの感想を受 け売りするということは、自分の感性そのものに自信がないから、ということになる。 トンチンカンなことをいってパカにされたら恥ずかしい、というわけだ。
そういう自信のない男性に、女性が魅力を感じないのも無理はない。 自分の感性を信頼できず、自分なりの考えを口に出せないから、雑誌というマスメ ディアに保証された記事の受け売りをする。これは、権威に服従している弱い姿であり、女性に最も嫌われる、「男らしくない」態度でもあるのだ。
《対策》映画なら、ます、自分が見たあとに、批評家の意見に接する つい受け売りをしてしまうという男性は、雑誌の中で安易に映画の感想や批評を採 すのではなく、まず作品そのものについてじっくり考える努力をすればいい。
これは、 受験勉強の弊害でもあるのだが、名作といわれる小説をダイジェスト版でしか読まな い人間が増えている。ストーリーや登場人物の名前だけを把握し、あとはそこに古か れている解説に日を通して終わりなのだ。そういうことの繰り返しが、自分の意見を 持てない人間をつくり出すのかもしれない。
たとえば、小説を読むときは、絶対にあとがきや解説から読まないことだ。また、 音楽を聴くときも、映画を観るときも、必要以上の予備知識は仕入れずにふれること である。そして、たとえ幼稚な感想だと思っても、自分の言葉で感想を話す。 そのほうが、どこかで聞いたような受け売りよりも、彼女はずっと好感を持って聞 いてくれるはずだ。
もちろん、多少の受け売りはあっても、はじめはかまわない。受け売りのなかで、自分なりの意見を差しはさむことからはじめてもいいだろう。
映画でも音楽でも、 の批詐に日を通すのもいい。 る方法もつかめてくる。 まず自分の耳や目で確かめてから、そのあとで評論家 そうするうちに、しだいに自分の考えを、上手に表現する女は、失敗談を話せる男に男らしきを感じる。