女性に信用される「やさしさ」、 警戒される「やさしさ」
《実例》お年寄りよりも彼女を優先して、気まずい雰囲気になった若いカップル
私が見た若いカップルの話である。その若いカップルと老女の三人は、ある停車駅 で電車に乗り込んできた。屯車のドアが聞くと、若い男性は老女のことなどはおかまいなしですばやく車内に駆け込み、一人分の空席を見つけるや、バッグを置いて硲保 したうえで、あとから来た女性に座らせた。電車が動き出すと、座っている女性の前 で、男性と老女がつり革につかまっている格好になった。
男性は平気で日の前の彼女に話しかけていたが、女性のほうは口数も少なく、老女 を前に気まずそうに座っていた。やがていたたまれなくなった彼女は黙って席を立っ と、男性の横に並んだ。空席がひとつできたので、近くにいた老女はペコリと頭を下 げて、空いた席に座った
。男性のほうは、せっかく取ってあげた席を彼女が立ってし まったことに不満をおぼえた様子だったが、何もいわず、沈黙のまま彼女と並んで立った
《なぜモテないか》女性は、他人への冷たさが自分に向けられることを警戒する
どんな男性が好きかと質問をすると、たいていの女性は、まず一番めに「やさしい 人」と答える。この「やさしさ」を好きな男性の条件にあげる女性は、つぎの二つの タイプに分類することができるだろう。「自分だけでなく、すべての人に対してのや さしさ」を望む女性と、「自分にだけのやさしさ」を望む女性である。
後者は、男性 は好きな女性に対してはかならずやさしくなるものだということに気づいていないか、 気づこうとしない鈍感な女性だといえるだろうが、いずれにしても、そんな彼女は、 愛されることによって望むものを手に入れることができる。
そして、結川附すれば、人 を押しのけて自分の子どもを電車の席に座らせる母親になるだろう。 もし、後者のタイプの女性だけに好かれたいと思っているのなら、他人に対して親 切になる必要はない。
好きな彼女にだけやさしくすればいい。しかし、前者のタイプ に好かれるチャンスは永久になくなることは覚悟したほうがいい。
前者のタイプの女性が自分に対してだけやさしい男性を嫌うのには、いろいろな理由がある。 「下心が見えるからイヤ」という女性もいるだろうし、「結局、利己的なだけじゃな いのよ」と反発する女性もいるだろう。「なにかあれば、手のひらを返すように自分 にも冷たくなるんじゃないか」という警戒心を持つ女性もいるはずだ。
こういう男性は、いわゆる「釣った魚にエサはやらない」という山性である可能性 も高い。そんな男性を心から信頼することができないと女性は思っているわけだ。
見ず知らずの他人に対してもやさしい男性は、自分に対してもずっとやさしい人間でい るだろうと想像できるが、自分にだけやさしさを示す男性にはそれができないのだ。
好きな女性に対しては、どんな冷酷な人間でも自然にやさしくふるまえるものである。問題は、それ以外の他人に対するやさしきである。
好きな女性の前で付け焼き刃 的に他人に親切にしてみせても、すぐにボロが出てしまうに違いない。また、ふだん からやさしくすることに慣れていなければ、彼女に対してやさしさを示そうとしても、 先ほどの電車の中の新い男性のように、彼女の気持ちを考えない、一方的なやさし 彼女のあなたを見るが変わる。
やさしさや親切心というのは、生まれながらに、その質が決まっているわけで はない。要は、本人が持とうという気持ちがあるかないかだ。日ごろからの心がけ、 つまり訓練次第でいくらでも身につけることができるのである。 人間というのは、認識して行動し、行動することによって認識を変えていく。
これを繰り返すことで成長していくのだ。これを心理学の言葉で「ノーイング・サークル (知識の輪)」というが、 常生活の中でやさしさのノーイング・サークル をつくってやればいい。 たとえば、小さな子どもやお年同滑りや困っている人を見たら、砧極的に手を貸してあげる。人から相談を受けたら、めんどうくさがらずに話を聞いてあげて、自分がで きる最善の助力をする。
好きな彼女の前でなくても、ふだんから親切を心がけるので ある。そういう行動を積み重ねていけば、認識も変わっていく。 分けへだてない やさ しさを身につけることができるし、どうすれば人が喜ぶかもわかってくる。
女性から「この人はほんとうにやさしい人なのね」と信頼される男性になれるのである。